僕を愛した罪
「そういえば桐生くん、1つ聞いても良い?」
「……何ですか?」
「そんなジトッとした目しないでよ。
今は梅雨じゃないよ?」
「…用件があるのならハッキリ言ってください」
「わかった、言うね。
桐生くんのご両親って何しているの?」
「…………」
空気が、凍った気がした。
夏真っ盛りの昼間で、汗をかいているというのに。
「……関係ないでしょう?キミには」
「きりゅ……」
「喋るな。
それ以上何も言うな」
静かに、あたしの声が制止される。
鋭くて、氷のように冷たい声に、あたしは寒気がして両手で両腕の肘を掴んだ。
「……関係ないじゃないですか。
僕とキミは、何の関係でもないのですから。
ハッキリ言いますが迷惑です。
キミの隣にいるだけで、僕は―――。
…良いですか?
もう近づかないでください。
キミは馬鹿だから気がついていないみたいですけど、
僕はキミのことなんて大嫌いですからね?
消えてください、僕の前から」
桐生くんはあたしに背を向けて、屋上の入り口へと歩いて行く。