僕を愛した罪






芽衣子さんに薦められ、僕は再び椅子に腰を下ろしました。

目の前に芽衣子さんが座ります。





「実はね…。
愛ちゃんのこと、星夜くんにはもっと知っておいてほしいと思うの。

愛ちゃんがあそこまで星夜くんに懐くなんて、思っても見なかったから」


「…前は彼女、あんな風じゃなかったんですか?」


「ええ…。
次郎さん譲りなのか、小さい頃から明るくて元気があったわ。

だけど、中学生の時…色々あってね、それ以来塞ぎこむようになっていたのよ」





意外でした…。

まさか彼女に、塞ぎこむような時期があったなんて。





「まだお付き合いしていない星夜くんに、
伝えるのはどうかと思ったんだけど…。

愛ちゃんがあそこまで惚れている星夜くんに
知っておいてほしいと思ったのよ」


「僕らがまだ付き合っていないってこと、知っていたんですか?」


「ええ。
星夜くんの対応を見ていたら気がつくわ。

愛ちゃんの一方的な片思いだってね」


「…すみません。

僕は彼女のこと、良いとは思うのですけど…まだ、付き合うとか…そういうのわからなくて」


「無理もないわ。
星太郎さんの教育を受けていれば、上手く人とのコミュニケーションが取れなくなるわよ」


「…あの人のこと、次郎さんも芽衣子さんも、よく知っているのですね」


「ええ。
星太郎さんはよく、家に遊びに来られていたから。

星夜くんのことも、少し聞いていたわ」





…意外ですね。

あの人が僕のことを言うだなんて。

まぁ、出来の悪い奴だとでも言われているのでしょうけど…。








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