冷酷バカをやっつけろ




「ん。」



「え?」



「イカ焼き。あげる。」


「私、別に何もないですけど…」


「馬鹿ね、お見通しよ。

いいから食べなさい。」


怖いよこの人

一体どこまで見破ってるんだ


「……三上さん。」


「私はチコちゃん応援してるから。」


「え?」


キィ、と椅子を動かし

私の正面で止まる


「本来の松枝を取り戻せるのは

チコちゃん、あなただけよ。」


「……。」


「課長、以前より冷酷になってるわ。

あの冷酷バカ、やっつけてあげて。」


「……私にそんな資格、ないですよ」


「チコちゃん…」



ごめんなさい三上さん、

これだけは…


「チコちゃんらしくないっ!!」


「え?」


「もっと元気出しなさいよ!

あなたはダブルパンチの片腕でしょ?

そんなにしょげてどうするのっ!」


三上さん…


「私は、まだ恋していいですか」


「…チコちゃん?」


「こんな私が、そんな資格ありますか」


「……」


「可愛く、なりたいです…。」


「ふ…

馬鹿ね。

恋しちゃダメなんてことは絶対にない。

人を想うことこそが美しいのよ。」



「…三上さん、」


私、

片思い…してみようかな、


「ぇー??

なになに可愛くなりたぃのぉ?

ならむぅにゃんにぉまかせぇー!」



「「……。」」



「とびきり可愛くしてぁげるゎ♡」



< 145 / 158 >

この作品をシェア

pagetop