結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】
新田係長の事、問い詰めなくて良かった。やっぱり、一輝と新田係長はそんな関係じゃないんだよね。
私の服を脱がせ胸に唇を押し当てる一輝の頭を抱き、安堵のため息を漏らす。
一輝はさっきの言葉どおり、欲望を抑え切れないって感じでネクタイを乱暴に片手で取り去ると、全てを脱ぐ事なく肌蹴たワイシャツのまま私を求めた。
長い指が私の髪をすき、ほろ酔いかげんの火照った体に容赦なく降り注ぐキス。それだけで敏感に反応してしまい彼を抱く腕に力が入る。
ところが、急に動きを止めた一輝が切れ長の目を細め怪訝な表情を見せた。
「なぁ、ラブホで抱いた時も思ったけど、お前、感じやすくなったな……」
「えっ?そう?」
「10年前はいつも恥ずかしそうにしてたろ?」
見上げた一輝の顔は明らかに不機嫌そう。その時、雅人さんも可愛く恥じらう女性が好みだった事を思い出し、一輝もそんな女性が好きなのかと焦った。
「ホタルをこんな女にしたのは……雅人か?」
そう言って冷めた目で私を見下ろす一輝に、恐る恐る聞いてみる。
「雅人さんは……乱れる女は好きじゃなかったから……一輝も、そんな女嫌い?」
すると一輝の表情が一変。妖しい笑みを浮かべたと思ったら、止まっていた指が肌の上を焦らす様に滑りだす。
「って事は、雅人は本当のホタルを知らないんだな?」
「本当の私?」
「そう、雅人はこんな感じるホタルを知らないって事だろ?」