結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】
なんでそうなる?まだ私はお見合いするなんて、一言も言ってないのに……
困惑しながら丁重に断るが、桐谷さんは「会ってくれるだでいいから」と譲らない。
「でも、お断りする前提でお会いするのは失礼ですし……」
「いやいや、いいんだよ。実は僕も何度も催促されて困ってたんだ。蛍子ちゃんを紹介すれば、なんとか義理も果たせる。僕の顔を立ててくれないかな?
それに、司君は根は優しくていい子なんだ。会えば気に入るかもしれないし、これも何かのご縁だと思って……ねっ?頼むよ」
なんちゅー強引なご縁だ……と思ったが、桐谷さんには本当にお世話になったし、こんなに頭を下げられたら断り切れない。取りあえず考えてみますと返事を保留にしてこの場をしのいだ。
「じゃあ、明後日までには返事を聞かせてね」
縋る様な目で私を見つめる桐谷さんに深く一礼して事務所を後にする。
引きこもりのボンボンか……参ったな。
会社に戻った後も、どうしようかと迷っていたら、定時間近に楓ちゃんと奥田主任が営業から帰って来て、不思議そうに私の顔を覗き込む。
「蛍子先輩、そんな難しい顔して、どうしたんですか?」
「えっ?あ、うん……お見合いの話しがあって……」
「お見合い?」
楓ちゃんの目がキラリと光る。
「その話し詳しく聞かせて下さいよ。そうだ!飲みに行きましょう!」
てなワケで、久しぶりに3人で飲みに行く事になった。
会社近くの居酒屋に入ると、私はふたりに桐谷さんから持ち掛けられたお見合い相手の事を話し、どうしたものかとため息を付く。