結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】

引きこもりだなんて言ったらドン引きされるかもって思ったのに、意外にもふたりはお見合いに賛成した。


「別にいいんじゃないかな?」

「そうそう!イヤなら断ればいいだし。会ってみたらどうですか?」

「えっ?ホントにそう思うの?」


そんな軽い気持ちでいいの?なんだか真剣に悩んでた私がバカみたい。


戸惑う私に、奥田主任が微笑みながら言う。


「吉見田さんは、斉藤次長の事もあったし、早く次の恋をした方がいいと思うよ」


すると楓ちゃんも真剣な目をして大きく頷く。


「そうですよ。あんな裏切り者の斉藤次長の事なんて忘れましょう!もしその人が素敵な人だったらもったいないじゃないですかー」

「もったいないか……」


そう言えば、桐谷さんも言ってたよな……引きこもる前は明るくて活発な人だったって。それに、イケメンで頭もいいって……


「なんたって次期社長でしょ?蛍子先輩、私がアクセスに入社したばかりの頃、よく言ってたじゃないですか~結婚するならトップコンサルタントか社長の息子だって」

「え、えぇ……まぁ……」

「その人と結婚する事になったら、蛍子先輩は社長夫人ですよ!」


社長夫人か……


その魅惑の4文字に私はずっと憧れてた。でも、一輝をまた好きになって、そんな事どうでも良くなってた。一輝の傍に居れればそれでいい。他には何も望まないって……


けど、その一輝はもう居ない。奥田主任が言う様に、早く一輝の事を忘れなきゃいけないのかもしれないな。じゃないと、私は前には進めない。


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