結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】

玄関に落ちたおかずを拾い集めてまで、あのお弁当を食べようとしてくれてたの?父さんの作ったお弁当を……


父さんの気持ち、ちゃんと一輝に通じてたんだ。それが分かっただけで嬉しかった。


「それよりさ、あの時、一輝の部屋にべっぴんの娘さんがおったじゃろ?あれは誰?」

「あぁ……あれは、一輝の彼女だよ」


事情を知らない先生は、私と一輝が結婚すると思っていたんだろう「彼女?嘘じゃろ~?」と大絶叫。すっかり酔いが醒めたみたいだ。


そして、当時の一輝とのやり取りを話し出す。


私がマンションを飛び出した後、一輝は新田係長もすぐに帰したそうだ。先生が『蛍子ちゃんと結婚するのに他の女を部屋に入れるもんじゃない』って説教すると、一輝は反発した。


部屋のチャイムが鳴り、私だと思ってドアを開けたら新田係長だったんだと。


「浮気なんかしてないって、反対に怒られたよ」

「えっ……?」


それ、どういう事?浮気なんかしてないって、一輝は新田係長と付き合ってたんでしょ?なのに、なんでそんな事言ったの?


先生には悪いが、私には、どうしても一輝がそんな事言ったなんて思えなかった。


だって、この先生の言う事だもん……ボケてたのかもしれないし、今だって酔っぱらってる。そうだ。きっと夢でも見て、現実とごっちゃになってるんだ。


期待なんかしちゃダメ。一輝が好きなのは私じゃなく、新田係長なんだから……


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