結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】
❁特効薬は、極上のサプライズ


―――2月20日、日曜日。入籍当日


とうとう、この日が来た。もうすぐ私は司さんの妻になる。


ママの事ばかり気にしてた父親だったが、さすがに今日ばかりは神妙な顔で私を玄関まで送ってくれて「幸せになれよ」と言ってくれた。


「うん、でもまだ引っ越しは1週間後だから。帰って来るよ」

「あぁ~そうだったな。蛍子が籍を入れたらママも戻って来てくれるって言ってたから、今夜は寿司でも取ってお祝いするか!」

「だね、楽しみにしてるよ。じゃあ、夕方には帰るから。行ってきます」


そして、入籍後は玲美達とランチパーティーがある。やっと、長年の夢が叶う。もうバカにされずに済むんだ。


でも、最高に嬉しいはずなのに、なぜか気持ちが沈んでいく。その理由は、一輝の事が気になっていたから。もう結果は出ているのかもしれない。一輝はどうしているんだろう?


で、もうひとつ。先日、診療所の先生が言ってた言葉。酔っ払いのたわ言だと分かっていても、どうしても気になってしまう。


嫌われて振られたと思っていたから、一輝を求める事なくひっそりと愛するって決めたのに、あんな話しを聞かされたら期待しちゃうじゃない。


一輝が戻って来てくれるんじゃいかって……そんなのあるはずないのに……


もう~ダメ!これ以上、考えちゃダメ!


気持ちを切り替え電車を降りると、区役所に向かって歩き出す。


到着した休日の区役所は思った以上に静かで、私は奥にある通用口の前で司さんを待った。約束した時間まで、まだ20分ある。


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