結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】

「なんだ?どうした?」


私を担いだ一輝を見て、居間で呑気にテレビを観てた父親の口からお茶が勢いよく零れ落ちる。


「親父さん、商店街の中にあった診療所のジジイって、まだ生きてんのか?」

「あ、あぁ……まだ生きてるが……」

「なら、今から行くって電話しといてくれ」


てなワケで、私は一輝に無理やり診療所に連れていかれ診察を受ける事に―――でも、なんで診察室の中まで一輝が着いて来るのよ?


「おや?一輝じゃないか。久しぶりじゃな~蛍子ちゃんと離婚して以来じゃで、10年ぶりか?また戻って来たのか?」

「あぁ、また一緒に暮らしてる。それより、あれから10年も経ってるから、じいさん死んだと思ってたけど、生きてたんだな。なかなかしぶといジジイだ」

「へへへ……ピンピンしてるぞ。それより、戻って来たなら、またアレ、貸してくれ」

「ったく、相変わらずだな」


病人の私を無視してふたりで盛り上がってる。


「ねぇ、アレって何?」


不思議に思いそう聞くと、一輝がニヤニヤ笑い「無修正のAVだよ」って言ったんだ。


「はぁ~先生、80歳でしょ?まだそんなの観てるの?てか、一輝、AV持ってるの?」

「男は幾つになっても男じゃよ。蛍子ちゃんも一緒にAV鑑賞する?」

「じょ、冗談じゃない!この変態ジジイ!とっとと診察して注射しなさいよ」

「注射だって……蛍子ちゃん、ヤラシいね~」


大ウケしてるふたりを軽蔑の眼差しで見つめながら心に誓う。


コイツら、熱が下がったら絶対フルボッコにしてやる……


< 53 / 306 >

この作品をシェア

pagetop