結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】
あぁ……最悪な展開だ……
当然、雅人さんは、なぜ一輝がここに居るのかと聞いてくる。もう誤魔化し切れないと観念した私は腹を括った。
姿勢を正し、雅人さんを真っすぐ見つめる。
「雅人さん、私、あなたに黙ってた事があります。実は……私、離婚歴があって……」
「離婚?」
「えぇ、10年前に離婚してるの。その離婚した相手って言うのが……そこに居る一輝なの」
「うそ……だろ?」
小声でそう言った雅人さんが、半分意識を失った様に呆然としてる。
「うそじゃないの。私と一輝は元夫婦……でも、今は全くなんの関係もないから」
「でも、関係ないなら、なんで一輝がここに居るの?」
「それは……彼がニューヨークから戻ったばかりの時、まだ住む場所が決まってない一輝を、父が私になんの相談もなく勝手に住まわせちゃったの。でも、住む場所が決まれば出て行く事になってるから」
一緒に住んでる事は上手く誤魔化せたと思ったのに、父親が横からチャチャを入れる。
「おいおい、一輝が出て行くなんて聞いてないぞ」
そして、一輝まで「俺も出てくつもりないし」なんて言ってくれる。
もぉ~なんでそんな事言うかなぁ~
「たった今、私がそう決めたの!いい?一輝は即行でマンション探して引っ越して!」
「ヤダ」
「ヤダじゃない!腐る程お金持ってるんでしょ?こんなボロい家にいつまでも居ないで、億ションでもなんでも買って出て行きなさいよ!」
暫くの間、私と一輝の押し問答を黙って聞いていた雅人さんだったが、突然立ち上がったと思ったら、テーブルを叩き大声で怒鳴った。
「一輝、いい加減にしろ!」