結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】

歓迎されてない私が行っていいものかと考えていたら、楓ちゃんが「私と蛍子先輩は出席です」と勝手に返事してる。


「はい!了解です。女性の会費は5千円ですので集金させて頂きま~す」


「ちょっ……私、まだ行くって決めてないんだけど……」って言ってる間に、楓ちゃんが自分の財布から1万円札を出し、私の分の会費も払ってしまった。


「蛍子先輩、行かなきゃダメですよ。後で歓迎会に来なかったって、次長にイジメられたらどーするんですか?」


その心配は無用だ。もうとっくにイジメられてるよ……殺されかけたし。


デスクに座る一輝を横目で眺め、今日、何度目かのため息を付く。


そして午後になり山根主任が出社してくると、すぐに一輝の所に行き、真剣な顔で何か話していた。席に戻って来た山根主任はチラッと私を見たが、何も言わずパソコンに視線を移す。


余計な事を言った私に腹を立ててるんだろうな。私が山根主任の立場なら、きっと怒ってると思うから。


それからは気が引けて、目の前の山根主任を直視出来なかった。


ようやく定時になり、楓ちゃんと一輝の歓迎会が行われる居酒屋へ向かうと、もう数人の社員が来ていて、その中に直帰した雅人さんの姿もあった。


「雅人さん、ちょっといい?」


そう声を掛け、ふたりで宴会場を出て人気のない廊下の隅に移動する。近くに誰も居ないことを確認し、気になっていた事を聞いてみた。


「あれから一輝や山根主任と話したの?」


すると、視線を落とした雅人さんが頷き、神妙な顔で言う。


「うん、3人で話したよ……」


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