あなたが教えてくれたから~約束~
今までも吉原さんが他の患者に優しくしているのを見て、
何度も何度も同じ感情を抱いた。
わたしは、欲ばりだ。
わたしだけに優しくしてほしい。
わたしだけに微笑みかけて欲しい。
わたしだけに……。
看護士さんはみんなに平等に優しい。
仕方ないじゃん。
わたしは立ち止まると、振り返った。
吉原さんはいない。
ただ廊下を照らす電燈だけがしらじらと輝いている。
無視なんてしちゃって、わたしって、最低だ。
きっと嫌われた。