あなたが教えてくれたから~約束~
綾乃とまともに話したのは本当に久しぶりで。
「何を言っても、許してもらえないのはわかってる。もうこれで最後にするから。汐里、本当に、ごめん……」
「いいよ」
頭を下げた綾乃がえ?と聞き返す。
「わたし、綾乃を、許すよ」
「でも」
「今までどおりになるには時間がかかるかもしれない。でも、許す。そう決めたから」
わたしは綾乃に向かって手を差し出した。
「仲直りの握手」
綾乃は一瞬戸惑ったあと、わたしの手にそっと自分のてのひらを重ねた。
「ありがとう…汐里」