甘々王子にユウワクされて。
わたしはもう何も考えられなくなって、がたっと立ち上がった。
驚く彼をよそに、鞄を開け、今日の分のテキストを机の上に置く。
それと、100円玉も。
「……今日は帰らせてもらいます。これやっておいてください。あと、ここの片付けもお願いします。今日はおごっていただかなくて結構です」
少し長くなってしまっている前髪で目を隠すようにうつむいて、彼を一切見ずに告げる。
「ちょっ、結羽!」
彼の声が聞こえないわけではなかったけれど、走って店から出て行った。
えー修羅場? と、ほんの一瞬だけ店内が騒がしくなるのが聞こえたけれど知らんぷり。
「今はだめだから……! 今駅に向かうと、あいつらと鉢合わせになって……!」
はっきりとは聞こえなかったそんな声も、すべて無視して走った。
好きなんだもん。わたしは、先輩が。
わたしの唯一の"感情"を、否定しないで……!
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