守られるのは卒業よ!
オーレアはマリカの顔をながめてにっこりと笑う。

「優しくて素敵な女性になったね。
そういう女性に病院での仕事を頼みたい。

患者を減らすために、力を貸してくれ。」



「ええ、お安い御用です。
今日もがんばってきます。」


「でも、無茶はしないでくれよ。
君は、僕の腕を治したばかりで、疲れてるだろう?」


「大丈夫よ。疲れがとれる薬草をとっておいたわ。」


「へぇ、そういうのがあるのかい?」


「ええ、フオっていうメジャーな薬草よ。
普通にお茶にまぜて飲んでいいものなの。」



「僕にももらえるかな?そのお茶。
僕もけっこう激務だから疲れてしまってね。」



「じゃ、すぐお茶をいれますね。」


「すまない・・・。」



しかし、お茶を飲んだオーレアは喉の下をおさえて、少し苦しんでいるようだった。


「オーレア?どうしたの・・・お茶を飲んでから具合が悪そう。
何かお茶と反応するものを飲んでいるの?薬とか?」


「いや・・・大丈夫だ。
(くっ・・・まさか、マリカのお茶に僕の体の組織を狂わせる力があるとは・・・)」






マリカはオーレアを心配しながらも、オーレアの頼みもあって王立病院へ出かけていった。


しばらくして、オーレアはスウェルを招いて話をする。



「で、昨日の話の続きですか?」


「ええ。君に頼みたいことがあります。
じつは・・・僕が死んだあと、国家とマリカのことを頼みたい・・・。」


「はぁ?
誰が死ぬって・・・。
年齢ごまかしは多々あるだろうと思っていたけれど、死ぬなんて・・・どうして?」


「僕はドジってしまったんですよ。
アリシュレア様をかばって大やけどをしてしまった。
それも、絶対けがなどしてはいけない。許されない場所をね。」


「腕・・・ですか?でも、昨日、マリカがきれいに治したじゃないですか?」


「腕はね。
今朝、マリカが元気が出る薬草を煎じたお茶を飲んで、元気が出るどころか死ぬ思いをしてきました。
なぜだかわかりますか?」


「ま、まさか・・・魔物の毒が・・・。」


「そうです、私の体を蝕んでいるのです。
戦争時に腕をけがしたことによって、防御魔法が完全じゃなかった。

だから、僕は毒を浴びることになってしまった。
そしてそれは、もう取れることもない。
いくらマリカが薬草と回復魔法で、何とかしようとしても、毒を中和することはおそらくもう無理だと思う。」


「なぜ!どうしてそんなことに・・・。」


「僕は王室を護る役目が天職だと思って、たくさんの弟子たちに魔法を教えながら、王室を支えてきた。
しかし、あの日、アリシュレア様を守ってほっとした隙を狙われてしまった。

僕は魔物にしばらくの間憑りつかれてしまったんだ。
必死で片手で追い出す呪文を吐いた・・・そして追い出すことはできたけど、毒が体を蝕んでしまった。
僕は、ナギンにしばらく治療してもらっていたが、ナギンまで具合が悪くなってきてね。

そのくらい厄介な毒なのだそうだ。
でも、思いは届くのか知らないが、僕が死んだらどの世界へ行くのか見に行っていたら、マリカが・・・黄泉の国へと逝きかけて・・・。」


「そうだったのか・・・。」
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