守られるのは卒業よ!
オーレアの言葉に声をあげた。
彼が面白くないと思っているのはそのことだったのかと勘繰ったマリカだった。


「あの、この前も言いましたけど、私まだそういうお話は考えていませんから。
私は若いですし、まずは薬草や回復魔法について学ばなくてはならないことがいっぱいですもの。」



「そうだね。だけど、君は僕の心を揺るがしてしまうほど、影響力があるんだ。
僕はもう君を手放せなくなっているからねぇ。

ハリィには君のよき友人までで立ち止まってほしいものだよ。」



「あ、俺はもともと友人ですから、気にしないでください。」


「そうかい。じゃ、いい友人でいてくれ。
君にはこの国をしょって立つほどの魔力を受け継いでほしいからね。」


「ちょ、ちょっと待って・・・国をしょって立つくらいってそれはあなたが・・・。
いえ、何でもないです。(何かおかしい・・・)」


「まぁ、朝のひとときや夜のくつろぎの時間に、こうやって話をするくらいはお互いにいいことだろう。
魔法でほぃっと来れるんだしね。」


「オーレア!私は魔法でほぃっとは移動できません!」


「そうだったな。じゃ、ハリィに来てもらえばいいね。」


「いいんですか?」


「ああ、夕飯も遠慮なく食べにきてくれ。
うちのシェフに用意してもらっておくよ。
3人で食べよう。」


「やったぁ!マリカ、いいのかな?俺、おじゃまじゃない?」


「そんなことないわ。ハリィのお話はいつも面白いもの。
私は笑わせてもらえてうれしいのよ。」


「そういうことなら、俺、仕事のあとはシャワーをすませて、ここで食べさせてもらうよ。」


「うん。来てね。」



そして遅めの朝食を3人でとった後で、ハリィはいったん自分の部屋へ魔導書を取りに帰り、マリカとオーレアは王立病院へと向かった。



「ありがとう、オーレア。
ハリィとも話ができたし、夕飯時も楽しみよ。」


「僕は君が笑っていてくれるのが、いちばん好きだからね。
僕といる時間だけで・・・なんてワガママな要求はしないと決めたよ。」


「どうしてなの?剣が持てないほど、どこかまだ痛むとこがあるからじゃないの?」


「えっ・・・!?」


「いや僕は剣術はあまり得意な方ではないからさ・・・。
だから、君だってスウェルのところで剣を打ち込んできたんだろう?」


「まぁそうだけど・・・でもスウェルが言ってたわ。
スウェルは魔法騎士よ。
騎士である修行もあなたから学んだって。

剣に魔法をこめてたくさん振っていたのではないの?
何を隠しているの?」


「そ、それは・・・まいったな。
でも、これは言っても、君には治せないからね。
僕は魔導士であっても、騎士にはなれない・・・だから、君に積極的にアプローチするのもやめた。

ああ、そんな顔をされたら・・・隠し通せないな。君には・・・もう。
僕の体は、魔物の毒で害されているんだ。

だから、剣を持つことも振ることもできなくなった・・・。
これで納得してくれたかい?」



「魔物の・・・毒!」
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