守られるのは卒業よ!
ベッドの上でのスウェルはとても意地悪で強引だとマリカは思った。

しかし、口でいう泣き言めいた言葉と裏腹に、マリカの心は女として満たされていく。

スウェルが情熱的に私をこんなに求めてくれるなんて・・・いつもの冷静で落ち着いたスウェルから想像もつかなかったからだった。

魔法を時折使っても、暴力的ではなく、ちょっと遊んでいるような・・・わざとマリカにきゃあきゃあ言わせたいといった行動としか見えない。


マリカが大きな声をあげるたびに、うれしそうに声をあげて笑っている。

それなのに、マリカはそれを咎めたり、怒ったりする気が起こらない。

なんだかスウェルがかわいくも思えてくる。



「マリカ、どうした?
体がつらいのか・・・。」


「ん?ち、ちがうの。」


「いきなり黙り込んでしまうから、何か悪いことをしてしまったんじゃないかって思った。」


「えっ!!そんなことは・・・ないんだけど、自分でこんな自分がいたことを驚いているだけなの。
私、こんな大胆なことしたことないから・・・。」


「わかってるよ。
俺からすればずいぶん遅いくらいなんだけどな。
毎朝、君を誘惑してるつもりだったから。」


「えっ・・・うそよ。」


「本当さ。ただ、君が肝心なときに目をあわせてくれなかっただけだけどな。
まぁ、俺もここまで強引なことをしたのは、これが初めてかもしれないな。

俺は、戦争があったから領主にもなれたし、ちょっとは偉そうな待遇になっているけど、もとは農家の倅だし、プレイボーイは名乗ったことはない。
ただ、君を初めて見たときは、とにかくそばにいてくれたらいいなって思ったんだ。」


「じゃ、オーレアと私が住むようになったときは?」


「ショックだったさ。
俺の魔法の師匠と君がベッタリで・・・口もきけなかったよ。
ただ、君が黄泉の国へ逝きかけたのを止めるなんて、オーレアじゃなきゃできなかったし、素直に負けを認めた。」


「私はオーレアには感謝でいっぱいよ。
でも、ずっと気になっていた男性はスウェルだった。
仕事も日常もとてもまじめで・・・・・言っててなんかはずかしくなっちゃった。
スウェルだって大人の男の人なのに、私がエラそうに言っちゃって。」


「あはははは。自覚はあるんだな。
じゃ、もう少しだけ付き合ってもらわないと・・・。」



「えぇえええ!だめだってば。
やぁだ・・ぁ。あん・・・。」


結局、マリカが目覚めたのは翌朝、朝稽古すら忘れてスウェルと抱き合って眠っていた。


目覚めると、クスクス笑うスウェルが目の前に見える。


「スウェル?どうしてそんなに笑うの?」


「きれいでかわいくて、最高の花嫁だなって思うから。」


「きゃっ・・・スウェルったら。」
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