青空ライン~君が居た青春~

私がいつもよりふらついている、ということはなぜか学校中に広まっているらしく、先輩や同級生に心配される、ということが続いていた。

それでも私は、優斗くんのお見舞いに行って、お医者さんと話をしたりして、気持ちは複雑だった。
お見舞いに行っても、優斗くんは笑顔で迎え入れてくれるわけでもない。
ただただ、意識がない優斗くんを眺めるだけだった。

今日もそのはず……だった。

――ガラ……

私は遠慮がちにドアを開けると、ベッドの隣に備えられている椅子に腰かけた。


「優斗くん……。」


ほんとに、綺麗な顔だなぁ……。
私はしばらく優斗くんの顔をじっと見つめた。
あの頃から、ずーっとこの綺麗な顔にコンプレックスを抱いていた優斗くん。
なのに今は……アイドルという、この綺麗な顔を活かす仕事をしているなんて、当時の私たちは想像つかなかっただろうな。
 
あの時、ほんとに照明器具から優斗くんを庇ってよかった……。
私は当時から残る肩の傷口を、そっと服の上から撫でる。



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