ベビーフェイスと甘い嘘
「茜ちゃん!こっち、こっち!」
「きゃー!久しぶりー!!」
待ち合わせた羽浦駅前で、賑やかに私を呼ぶ声が聞こえた。
「裕子姉さん、千鶴ちゃん、久しぶり!」
私もにっこりと笑って手を振りながら駆け寄った。
坂井 裕子(さかい ゆうこ)さんと湊 千鶴(みなと ちずる)ちゃんは私の元同僚で、結婚後でも付き合いのある仕事仲間はこの二人だけだ。
それでも翔が生まれて子育てに追われていくうちに、頻繁に会うことは無くなっていた。
「茜ちゃん、なんだか大人っぽくなっちゃってー」
と裕子姉さんが言うと、
「そうそう。……あれ?もうハタチになったんだっけ?」
と千鶴ちゃんがすかさずからかう。
「もう30過ぎてますよ!」
それに私が笑いながら答える。
このやり取りって久しぶりだな。
嬉しくて自然と笑顔になってしまう。
裕子姉さんは夫と同じ歳で、千鶴ちゃんは私より一つ歳上だ。だけど童顔の私は千鶴ちゃんと歳が近いようには全く見えなくて、それをいつも二人にからかわれていた。
今だってネイビーのパンツスーツを格好良く着こなしている裕子姉さんの横で、黒のジャンプスーツを着て立っている千鶴ちゃんは、歳相応の色気もあって素敵だなと思う。
それに比べたら、私なんて学生か?ってくらい、色気も何も無い格好だ。
コンビニでは私がいちばん歳上だから姉さんらしく振る舞っているけど、二人と一緒にいる時の私は、いつも末っ子のポジションだ。