ベビーフェイスと甘い嘘

「だいたいね、好きだからってすぐに『好き』って言っていいのは幼稚園までよ。歳を重ねれば重ねるほど周りのことを気にしないといけないし、過去の拭い去れない苦い恋の経験が邪魔をしたり、しがらみを振り切れなくなるんだから」


つまり私は『亜依ちゃん大好きー!』っていつも言ってる翔と同じような恋愛しか知らなかったって事なのね……


「せいぜい悩みなさい。悩んでそれでも諦められないくらい大切な気持ちだったら伝えてもいいんじゃない?大人らしく、すべてクリアにしてからってのが条件になるけどね」


「まずはアホ旦那ととっとと離婚すること!分かったわね!!」




泣き出しそうな顔で笑っていた直喜の顔を思い出す。


直喜の気持ちを……私は一回でもちゃんと聞いた事があった?




ーーその瞬間、今までぼやけていた視界が急にクリアになったように感じた。



まるで涙を流し切った後のように。



私は、また嘘を積み重ねようとしていた。


直喜の気持ちを決めつけてしまっていた。



もし、私が素直に気持ちを伝えられたなら……


直喜は私の気持ちに応えてくれるだろうか。




…………どうしようもなくあなたに惹かれてしまうこの気持ちに。




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