ベビーフェイスと甘い嘘

私は未だにその事が許せない。
義母から言われた事も、それに従うままだった夫の事も。


私だってウェディングドレスが着たかった。
当時は28歳。まだ結婚というものに対して憧れを持っていたんだから。


目の前にいる可愛い相方に、ちょっと嫉妬のような思いを抱く。


彼女はこれから素敵な人と出会い、楽しく恋をして、しあわせな結婚をするんだろう。


たとえ今までは思った通りの恋ができなかったとしても、まだ未来へ向かうことのできるその若さが羨ましい。


それに彼女はモテる。
仕事ができてお客様にこまめに気配りもできるから、彼女を目当てにして通う常連客も多い。

そんな常連さん達のアピールに全く気がつかない様子は見ていて呆れてしまうほど、自分のことに関しては『超』が付くほど鈍感な子だ。


170センチの長身。背筋を伸ばしてテキパキと働く姿は女の私でもカッコいいなぁと思ってしまう。


私の身長は152センチ。20センチ近く違いのある私達はサンキューマートの凸凹コンビ、なんて変なあだ名を付けられた。


仕事でも集客力でも歳でも勝てない。


私がコンビとしてちゃんと仕事ができているのかは謎だけど、この歳から新しくパートを探すのは厳しい。


経営者が変わっても、どんどんおばちゃんになっても、お客さんにモテなくても、私はこの仕事にしがみつくしかないのだ。
< 6 / 620 >

この作品をシェア

pagetop