したくてするのは恋じゃない
確信?


「俺は、絵里子がずっと好きだった。…焦ったんだ」

「へっ?えっ?」

「…俺らって、高校以来じゃん」

「…う、うん」

「しかも、気ぃ遣わずいつも居たし」

「うん、まぁ…、改めて考えたらそんな感じよね」

「ああ。俺、勤務先がこっちになって。
偶然あの店に、絵里子が居るのを見掛けたんだ。
すぐ解ったよ。変わってないから」

それは私も同じだ。剣吾だって変わってない。

「ちょくちょく店に寄るようになって、無理言って、すぐ食べるからと、テイクアウト用のサンドイッチをお願いするようになったんだ。
あの店の、旨いから」

それは同感だ。なんでも美味しい。

「そのうち、テイクアウトしに行ってるのか、……目的がよく解らなくなってきた。
俺は時間が、…仕事の時間が不規則なんだ。
だから、あの店に行けば、ほぼいつでも絵里子に会えるって解ってても中々行けなかった。
10分、…5分でもいい。顔が見たいと思うようになった。
…だけど、行ったら、どうだ。
絵里子はあのオッサン、いや、マスターと楽しそうにしてる、…いつもな。
よく知らないけど、絵里子だけにじゃないのか?あんな特別扱い」

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