抱き寄せて、キスをして《短編》
「新太ってさ、なんか段々ダサくなってない?」

「えー、そーかな」

新太はモクモクと焼き鳥を頬張り、ボサボサの頭を片手でガシガシとかいた。

……そーかな、じゃねーよ。

私は目の前の眼鏡の男をシゲシゲと見つめた。

新太……中山新太は私の同期だ。

お互いに入社三年目で私達の出逢いは……。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

三年前。

「ねえ中山君、趣味は?」

私は同期生親睦会終了後、帰る方向が同じだった中山新太に尋ねた。

20人いる同期達は、3ヶ月の研修期間の後全国の支店へ配属され、本社勤務は私と新太を入れて5人だった。
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