ためいきのセレナーデ
馴染みのバーにいたら、二人組に口説かれた。

私はカッコいい人がいいのに、素朴過ぎる人の方が私を気に入った。

私を担いで持って帰るんだと、嫌がる私を抱き上げようと繰り返し、プロポーズの言葉にかえると同じ歌を何回も贈られ、私はやんわりなだめて諦めて貰ってた。

断る度に、プライバシーを誰かれ構わず言いたくないから。

友達がそんな真剣な話をしてる時にイケメン君が触手化した。

私が払う間にもう5回はお尻を撫でている器用さで。

なんて軽いの?

なんてアホなの?

これをしなきゃカッコいいのに?

触手化しても、イケメンも私を食べようと狙ってるのがわかった。

見境いがないヤツなのだ。

友達が真剣に付き合いたいと口説いてる、そのテーブルの下の背中側で、私の手と死闘を繰り返してる儚き男の友情よ。

触手化しなければいい男だったのに、天は二物を与えず。

心のイケメンはいませんか?



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