〜愛が届かない〜

数センチ触れるか触れない肩の距離で、1つのメニューを開き会話が始まる。

「私、ワインにしようかな⁈」

「…俺と趣味が合うね」

やっぱり、そうだと思ったのよね。

「じゃあ、一緒に飲みましょう。赤と白どれにします?」

飲むなら白がいいけど…

「…君は白がいいんだろう⁈」

「……わかります⁈」

「そんな感じで見てたから…俺も白がいい」

「ふふふ…私達、気が合いますね…お2人もご飯もまだでしょう⁈」

前に座っている悠さんにも視線を動かせば、何やらテーブルの下でじゃれている様子。

「ここの生ハムのピザ美味しかったよね…柚月⁈」

相づちを求める悠さんは、ニコニコ楽しそうに柚月に視線を向けていたけど、ちゃんとこちらの会話は聞いていたようだ。

柚月の方は、聞こえているけどそれどころじゃないみたい。

赤くなったり、涙目なったり、ビクッと体を揺らしてたり忙しそう。

「俺と柚月はビール。料理は適当に頼んでよ」

そう言うと2人世界に突入。

隣の男と肩をすくめ

ダメだ…ほっとこう

みたいな感じで視線で会話する。

初対面の男と視線だけで会話するなんて初めてだけど…なぜだか心を読み取れるし読み取られてる。

こんなに心が騒つくのは初めてだ。

彼は、店員を読んで飲み物とピザ、前菜の盛り合わせを注文した。

「…勝手に決めたけど…よかった⁈」

「えぇ、大丈夫です。私も前菜の盛り合わせがいいなぁって思ってだから…」

思ってないけど…合わせとけ‼︎

「だろうね」

今までと違い、含みのある言い方にムッとしたけど…顔には出していない。

「クックク…怒るなよ」

急に頭をわしゃわしゃと撫で私と視線を合わせた男の微笑みに心が持って行かれた。

キュンとするなんて…漫画の世界だけだと思っていたのに、今、自分が体験している。

「怒ってないですよ」

笑ってごまかしたけど…見透かされている感じで見つめられ恥ずかしい。

そうこうしている間に飲み物と前菜の盛り合わせが届けられた。

4人で「お疲れさま」とグラスで乾杯。

「そう言えば自己紹介まだだったね。彼女は楓ちゃん、彼は溝口 晃平さん」

お互いによろしくと微笑む。

自己紹介を促した悠さんは、私達をほったらかしで柚月に前菜のチーズを口に運んであげていた。

柚月が頬を真っ赤にしているその時点で、柚月の右手が何かに邪魔されて動けないのは一目瞭然。

それが何なのかは、見なくても想像できる。

柚月が助けを求めない限り私は見て見ぬ振り。

取り皿に少しずつ取り分けて

「溝口さん、どーぞ」

「ありがとう。気がきくね」

「そんなことないですよ」

「いつも、そうやって男には取ってあげるの?」

意地悪く笑う溝口さん。

「……そうですね。女子力見せてポイントアップ目指してます」

この、答えが正解⁈
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