微笑んだ先に咲く花





「空が…私から離れていってしまうことが…一番…怖くって、辛くて…悲しくて…」




それくらい好きだった




「だから血が怖いんです

私の大切なものを全て奪っていった血が…

もう…あんな思いは…したくない…!!」





泣かないように唇を強く噛み締めた






ポンポンッ



「……」


「よく頑張りました。でもね、もう怖くないでしょ?兄貴は慎ちゃんを置いてもうどこにも行かない。


俺も有もみんな慎ちゃんのこと見捨てないよ。だから、大丈夫だよ」




明さんの手の重みを感じる

大丈夫だよ


その言葉が…あの時の空と重なった





「…そうだったんだな。言ってくれてありがとうな」



有さんが1口チョコをくれた



「お前さ、ここでチョコかよ。しかも1口チョコ」


「はぁ!?別にいいだろ!慎はチョコが好きなんだよ、な??」



突然始まった2人の言い合いに、笑みがこぼれた


私に気を使ってくれたのかは分からないけど、そうだとしても居心地は悪くない




「好きですけど、ここで1口チョコはないですよ」


私の答えに
ほらな?と得意げに明さんが有さんを見る



「〜〜…うるさいっ!!じゃあ返せよ!」



「わっ…!やめてくださいよ!これは有さんがくれたじゃないですか!」



「いいから返せよ!」



有さんが私の上に乗ってきた
ところで有さんの頭がクリアになる一言を明さんがいった





「兄貴の彼女の上に乗ってるね。いやむしろ跨ってる?報告しなきゃだな」




「………それだけはやめてくれ!!」



私から降りて今度は明さんが犠牲になる



そんな光景が微笑ましくて
嬉しくて


ついつい笑っていると


「笑ってんなよ!」



有さんから厳しい言葉がかかる。

そんな言葉すらも今は…


「面白いですから…!」



全てが幸せに感じてしまうんだ




















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