夏休み
「……キミには僕より
もっと相応しい人がいるよ。
僕と違い、
夏が終わってもいなくならない人が。
キミを笑顔に出来る人が」
あたしのこぼれ落ちる涙を、そっと拭ってくれる。
その優しさに涙が溢れて止まらない。
「来年の夏休みにまた来るから。
その時までに幸せになっていてよ。
僕のことをここまで好きでいてくれるキミには
笑顔でいてほしいんだ。
1年中、季節なんて問わないで」
ポンポンッと、優しく頭を撫でてくれた。
あたしは顔を上げた。
「……大嫌い。
キミはすぐにいなくなってしまうから。
だけど大好き。
ずっと待っているから。
来年の夏休み、キミに会える日を」
あたしは空っぽになった缶ジュースをごみ箱へ投げ入れると
彼に背を向けて自宅まで走った。