お隣さんのキケンな誘惑



私はビールを冷蔵庫から取り出して久藤さんに渡した。


「お疲れ様」


「お疲れ様です」


そう言ってビールを飲んだ。


「そう言えばさ、メーって元カレに騙されてたんだろ?」


そう久藤さんが言った瞬間に飲んでいたビールを吹き出した。


ブホッ


「うわぁ!何やってんだよ全く。」


そう言って布巾をキッチンから持ってきて私が床に吹き出したビールを久藤さんは拭いた。


「す、すみません…でもどうして知ってるんですか?」


「昨日に言ってたから。
飲み過ぎてたのもあるだろうけど泣きながら言ってたぞ?」


マジか…泣き顔までも見られて伊崎さんの事まで話してたなんて。


「辛かったと思うけど別れて正解だったよ!
だって俺にこうして出会えたしな。
俺、彼女居ないしメーなら大歓迎だけど?」


「何言ってんの?歓迎されなくていいから。」


「うわぁ酷えな!俺からそう言われたらみんな喜んでくれるけどメーは冷たいな!
まぁそんなメーも可愛いんだけどな!」


自慢かよ!


それに可愛いなんて言われたら照れるじゃんか。


「メー、こっちおいで!」


「無理!」


「ケチ」


だからおかしいだろ?
私とあんたはただのお隣さんなんだし付き合ってもないのに膝を叩いておいで!なんておかしい!


「今日はそのビール飲んだら帰って下さいね!」


「一緒に寝ないの?」


「寝るわけないでしょ?」


「昨夜はあんなに強引だったのに?」


「わ、私は覚えてないし!」


この男はやっぱり危険だ!
冗談に聞こえないのが心臓に悪い。


それに男なんて裏切るんだから…。


振り返れば私は利用されやすい女かもしれない。
昔に付き合ってた彼氏には"俺達セフレだろ?"なんて言われた事があった。
付き合ってるつもりだったけど違った。
相手は私をセフレとしか見てなかった。


他にも二股かけられてたり、私って何でこうなんだろ。




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