英国紳士と甘いはちみつ同居☆
素っ気なく言うと、ドライヤーのスイッチを切って、乱暴に腰に巻いてあるシザーケースから櫛を取り出す。

「では、その、仲良くしてくださいね」

浜ちゃんがドライヤーを持って退場しようとすると、ジンさんは鏡越しに浜ちゃんを居わたる様に笑いかけた。

「ありがとう。仕事中は口説いてはいけないらしいから、大人しくしているよ」

「――――!」

この人の口に、甘い言葉が出ないように辛いものでも押し込んでやりたい。
浜ちゃんなんて真っ赤になって倒れそうになりながら、レジに走っていったし。

「仕事が終わるに、何時?」
「企業秘密です」
「迎えに来たいのだけど、何時?」
「今日は先約がありますので」

口説かれてる? いや、いやいやいや、こんな王室なんちゃらとか肩書きがあるような有名人が私を口説く理由が本気で分からない。

「じゃあ、帰りを待っていることにするか」
「?」
「その時に、――色々聞くことにするよ」

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