ゆりかご
シャラ……

ーーードン!

「きゃッ…!」

「おわッ⁈わ、悪ぃ!大丈夫⁈」

あたしの良く知っている音が耳をかすめたかと思ったら、身体全体に走る衝撃と共にバランスを崩しそうになり、それと同時に声を出した相手を見た。

「清田さんじゃん。どーしたの?」

先に気づいたのは、コータロー…。

「コータロー…。」

名前を呼ばれただけ、名前を呼んだだけ、それだけなのに……今日のあたしは、いくらか緊張していた。

昨日の今日で、変に意識してるのかな…。

だとしたら、余計ゆうちゃんに申し訳ない。

「大丈夫だった?痛くない?」

「…うん、大丈夫。」

コータローは、自分とぶつかったあたしを気遣ってくれていた。

「じゃぁ、何で泣いてるの…?」

「え……。」

コータローは、真顔だった。

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