ゆりかご
なんとか睡魔に勝ったあたしは、校門を抜けようとしていた。

乗り換えの電車を待ってた時と今、ケータイを確認したけど、メールの返信はまだなかった。

「…。」

別に…待ってる訳じゃない。

ただ、誕生日だって言うからメールしたのに、返信がないんじゃ少し気まずい気持ちになる。

気づいてないだけかな…。

今朝は晴れた空に薄い雲がかかっていて、今のあたしのなんとも言えないモヤモヤした心の中に似ていた。


「おはよ、清田さん。」

「何で…。」

何でーーーこんなとこに居るの…。

校舎に入りスリッパに履き替えたあたしを呼び止めたのは、コータロー。

靴箱の前の廊下の壁ーーーちょうどこの前、あたしが美羽を待ってたあたりにもたれて立っている。

そして、あたしを待ってたかのように、あたしの名前を呼んだんだ。


「おはよう。来るの待ってた。」




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