君と私の秘密の恋


裏口から入ると、警備員の人に伝わっていたみたいですぐに中に通された。
エレベーターで上がると、指定された部屋の前までたどり着いた。



ノックをして、しばらく待つ。
すると中から扉が開かれた。




「楓くん!」

「よ」



楓くんの姿だ。
私は中に入り、楓くんと向かい合う。
なにから切り出せばいいんだろう。




「あの、楓くん。引退するって・・・」

「・・・ああ、もう見たんだ。そうかと思った」

「いいの?」

「俺がモデルをしていた理由も、俊に聞いてたんだろ?」

「あ、うん・・・。でも、そうなんじゃないかって、社長さんは思っているんだって感じで言ってた」





お母さんを探すため。
楓くんはそうは言わなかったけどって。




「・・・その通りだったんだ。俺が、捨てられた理由が知りたくて。母親を見つけたいって思った。それで、始めたモデルだったんだ」




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