君と私の秘密の恋


「だから、もうやる意味はなくなったんだよ」

「そっか・・・。楓くんは納得しての引退なんだね」

「ああ。いつまでもあんなことやってられないしな。男が女のふりしても出るなんて、いつまでもできるとは思えねぇよ」




楓くんはそう言って笑った。
確かに、いつまでも隠し通せるとは思えないけど・・・。
私はKAEDEに救われたから、KAEDEが見れなくなるのは少し寂しい。




「ここが、引き際だと思う」

「うん。そうだね。これから、なにをするの?」

「・・・写真、撮ろうと思って」

「写真?」




そういえば、あの公園でいつも写真を撮ってた。
景色や花の写真。




「今度は、撮る側に回りたいと思ってる」

「人を撮るの?」

「俊がカメラマンを紹介してくれて。その人の下で頑張ろうと思ってる。人も、空も・・・これからは、撮っていく」



空も人も、撮ってこなかった楓くんが撮る世界。
いつか、見てみたい。




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