サクラノシタ

新しい教室に入ると、少し騒がしかった。
その原因は、すぐにわかった。

『うわ、三上も同じクラスなのか』

啓太がいかにも歓迎してないですよ、
という感情をこめた声をだした。

『三上くん、同じクラスなんだね!』
『三上くん、テレビ観たよ!凄かったね!』
『カッコ良かったー!』
『ねー!』

啓太とは裏腹に女子は大歓迎ムードらしい。
三上の机の周りを女子が囲み黄色い声を上げている。

ーーー三上 トキヤ。

学校一のイケメンとの噂であり、
親は有能な刑事らしく、テレビで
よく特集を組まれたりニュース番組に
コメンテーターとして出てたりしている。
その影響か、三上自身もテレビに時々
出るようになり、雑誌などで
『今話題のイケメン』と特集組まれたり
しているらしい。

そして、何より彼自身が
公的捜査機関に所属し、正式に事件の捜査に携わっているというから驚きだ。


イケメンで、優秀。
これは女子にもてないわけないだろう。

当の三上本人は、自分をとりまく女子たち
に器用に笑顔で応えていた。
その姿はまるで、テレビのインタビューに
応えるタレントみたいだ。

それは傍からみれば、どこをどうみても
好青年でしたかない。
だが俺にはなぜが、その姿がとても
嘘っぽくみえた。

『…っ!』

突然、頭の奥にキーンと耳鳴りがした。

(…っまた、だ)

痛みに思わず顔を歪める。

『ん?白澤?どした』

突然歪んだ表情をみせた白澤に気づき
啓太が声をかける。

『…なんでも、ねぇよ…』
冷や汗がタラリとたれる。

『本当かぁ?』

『…っ悪い、啓太。ちょっと保健室
行ってくるわ…。』

『あ、あぁ…。先生には言っとくよ
気をつけてな』

『あぁ…。悪い…。』

教室のドアを閉めると、大きく息をはいた。

(なんなんだよ、これは…っ)


最近になって、時々、酷い耳鳴りと頭痛に
突然襲われることがある。

それだけならまだしも、なぜか
この症状がでると、性欲が異様に増すのだ。

『…っ』

そっと股間に目をやると、抑えきれない
熱が形をかたどっていた。

家ならまだしも、
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