私を本気にさせないで
「やだ、ちょっと離して!」

人混みの中とは言え、彼女に拒絶された言動に胸が痛むも、このまま彼女に言われるがまま腕を離すわけにはいかない。

「無理です。……午後のあれはなんですか?俺、白田先輩になにかしました?」

すると彼女はピタリと動かなくなり、俺に腕を掴まれたまま俯いてしまった。

それは“あれ”と言っただけで、なにを意味するのかちゃんと彼女も理解している証拠。
ならその理由を知りたい。

こんなことで嫌われるわけにはいかない。
どんな小さなことでも、彼女に言われたら直してみせる。

だから俺のこと、嫌いにならないでほしい……。

いつの間にか彼女の腕を握る力が強まってしまった。
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