私を本気にさせないで
久し振りに彼に手料理を振る舞おうと思い、近所のスーパーで食材を大量に購入し向かった私を出迎えてくれたのは、エプロン姿の見知らぬ女性だった。

一瞬部屋を間違えたのかと思ったけれど、大学時代から通い詰めていた彼の部屋を間違えるはずなどない。

唖然と立ち尽くす私に、彼女も困惑した様子だったけれど、私の正体に気付いたのか勝気な笑みを漏らし、こう言われたんだ。

『もしかしてあなたが例の浮気相手さん?』って――。

どうやら彼は入浴中だったようで、玄関近くにある浴室からはシャワーの音が聞こえてきた。
その間彼女は料理を作っていた。……容易に想像できてしまった。

そんな中、彼女はまた吐き捨てるように言い放ったんだ。

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