私を本気にさせないで
確かに弥生の言う通り、私はめんどうな女かもしれないし、痛い女かもしれない。
だけどね、ひとつだけ間違っていることがある。

大森君は決して無邪気で可愛いってだけの、年下男子ではない。
こっちが年上ってことも忘れてしまうくらい、意外な一面を見せるときがあるのだから。


あぁ、嫌だな。
弥生のせいで大森君のことを思い出したら、変にドキドキしてきちゃったじゃない。

だけどそんな自分に気付かれたくなくて、一気にビールを飲み干す。

もう一ヵ月も過ぎているというのに、いまだにあの日の唇の熱は鮮明に覚えてしまっている。
そうなると嫌でも思い出してしまい、こうやって時々どうしようもなく胸を締め付けられてしまうんだ。
< 43 / 125 >

この作品をシェア

pagetop