私を本気にさせないで
だからどんなに周りが大森君のことで騒ごうが、私には関係のない話だった。
必要以上に話すことなんてなかったし、仕事上で話すだけだった。
それに大森君の方も、必要以上に私に接してこなかったし。

なのに、どうしてだろうか。
彼が突然あんな行動に出たのは……。


大森君が入社して約四ヶ月半過ぎた九月中旬の今日。
朝から太陽が照り付け、日中はまるで真夏のような暑さだったというのに、夕方になると天気は一変し、厚いどんより雲に覆われていった。

そして退社時刻を迎える頃には、外はまさに嵐だった。

雨風が窓ガラスを打ち付け、遠くで雷が鳴っていて、傘など持ってきていない私はとてもじゃないけれど、この中を濡れて駅までダッシュする気になれず、明日残業しないで済むように残って仕事をしていた。
< 7 / 125 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop