私を本気にさせないで
これ以上大森君の前で醜態をさらすわけにはいかない。
だから早く涙なんて止めなくちゃいけないのに、一向に止まってくれない、そんな時だった。

「俺の前では泣いてもいいですよ」

「――え?」

思いがけない言葉に顔を上げれば、大きな手が伸びてきて、そっと私の涙を拭っていく。

「泣いて落ち着いて下さい。……大丈夫です、力及ばずと指示してくれれば、もしっかり白田先輩をサポートしますから」

「大森君……」

優しい手がゆっくりと涙を拭っていく。


不思議な感覚だった。
だってあれほど止まらなかった涙が次第に止まっていくのだから。

それはきっとこの優しい手のぬくもりのおかげだろうか……?

すっかりと止まってしまった涙を確認すると、大森君は安心したように肩を下ろした。
< 81 / 125 >

この作品をシェア

pagetop