私を本気にさせないで

その姿にあれほどドキドキして仕方なかったというのに、少しだけそのドキドキも緩和されていく。

「行き先はお願いしてもいい？」

いまだに目をまん丸くしてまま驚いている大森君に対して、少しだけ余裕ができ、からかうように言うと大森君はこれでもかってくらい、何度も何度も首を縦に大きく振った。

「もっ、もちろんです！ばっちり考えておきます！！……だからいまさらさっきのは嘘とか、そういうオチはナシですからね？」

念を押すように詰め寄ってきた大森君に面食らってしまう。
だけどそれも一瞬で、すぐに笑みが零れてしまった。

「大丈夫、そんなこと絶対に言わないから」


キスから突然始まった二度目の恋愛。
ゆっくり大切にしたいって思った。

目の前で嬉しそうに微笑む大西君を見つめながら――……。