無口なセンパイに恋した仔羊
…二日酔いの頭で、何とか身支度を済ませた私は、恐る恐る玄関を開ける。

「…いない」

思わず溜息をつく。そして、いつものように家を出て、電車で会社に向かった。

「…早っ!…ッ〜」

頭を押さえながら、もう一度、自分のデスクの横を確認する。

…そこには、しっかり身なりを整えた進藤さんが、もう仕事を始めていて。

私の言葉に一瞬こちらを睨んで、またすぐ、仕事し始めた。

…恐るべし。

気まづい空気の中、仕事をこなし、お昼を知らせる音楽が流れると、私は逃げるようにオフィスを出ようと立ち上がると、ガシッと誰かが私の肩を掴んだ。

ゆっくりと振り返って、溜息。

「…小春」
「…ランチ、ご馳走になろうかな」

そう言ってニッコリした小春。昨日の失態があるからと、私は2度頷いてみせた。
< 14 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop