無口なセンパイに恋した仔羊
仕事が楽しかった。信頼できる2人の先輩と、大きな企画が出来る事が。

…頑張れば、頑張る程成果が出る。けれど、その間、気を張り詰めっぱなし。

失敗は出来ないと思うと、気は抜けない。

「…あれ、琉偉は?」

午後7時。企画部から戻って来た綾人さんが、私に問いかけてきた。

「お疲れ様です。…さっき、百貨店の担当者から電話があって、少し出てくるって、出て行きましたよ」

「…そっか。…ほら、コーヒー」
「え、わっ!」

少し離れたところから、缶コーヒーを投げられ、慌ててそれを受け取る。

「頑張ってるから、ご褒美」

そう言って微笑む綾人さん。

「ありがとうございます」

素直にお礼を言う。

「そろそろ片付けよ。頑張るのもいいけど、程々にしとかないと、体もたないぞ。まだまだ先は長いんだから」

その言葉に苦笑いで頷いた。
< 38 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop