無口なセンパイに恋した仔羊
「…おい、ミーティング始めるぞ」
「あ、はい!」

…いけない。仕事に集中しなきゃ。

不機嫌オーラ全開で、琉偉さんの一喝。私は慌ててそう言った。

「今後のことなんですが…」

…真面目に仕事に集中しているのに、物凄い視線を感じ、そちらをチラッと見ると。

「…」

三好さんと、目が合った。私は作り笑いを浮かべた。…すると、三好さんも、笑顔で返してくれた。

最後の最後まで、三好さんに見られながら、ミーティングを終えた。

「…それでは、そういう事でよろしくお願いします」

お互い挨拶をして、部屋を出た。

「…新垣さん!」
「…え?」

出口に差し掛かった所で、声を掛けられ振り向いた。

「…三好さん、どうしたんですか?」
「…これ、忘れ物です」

…あ。ペンケースを忘れていたようで、届けてくれた。

「…ありがとうございます」
「…いいえ、それじゃあ」

私が受け取ると、あっさりその場を去って行った。

…ペンケースから、紙切れが見えて、それを取り出し、絶句する。
< 46 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop