絶叫脱出ゲーム～奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ～①
「でも、《ｍｏｔｈｅｒ》の関係者だろうな」


勲さんが呟くようにそう言った。


確かに、あたしもそう思っていた。


《奴隷部屋》に入って行った男たちはそれぞれ1人を選び、その人を連れて部屋から出た。


見て見ると、選ばれた全員が男性だ。


男性は暴れたり、スーツ男に話かけたり、不安そうな顔をして灰色の通路を進んでいく。


「これから何が始まるの……？」


恐怖と嫌な予感であたしは自分の手を握りしめた。


「大丈夫だ。心配するな」


優也さんがそう言ってくれるけれど、それで拭いきれるような不安ではなかった。


でも、その気持ちは嬉しい。


画面を見ていると、スーツの男が通路の途中で立ちどまり、右の壁を手のひらで押した。


すると、壁の一部がドアのようになって開いたのだ。


「まさか！」


夏子さんが思わず声を上げた。


「あんなドアがあったなんて……気が付かないわよ！」


昭代さんがそう言い、顔をしかめる。


自分たちが一番最初に通った通路にこんな仕掛けがしてあったなんて、誰も気が付かないだろう。
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