絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~①
施設内の人間だけが知っている扉だ。


「まさか、あのドアに気づいていれば外へでられたんじゃないだろうな?」


優也さんがそう言う。


……そうなのかもしれない。


だとすれば、殺し合いなんてする必要はどこにもなかったことになる。


悔しさに歯をかみしめた。


だが、そんな期待もあっという間にかき消されていった。


隠し扉を入った先にあったのは学校の体育館くらいの広場だった。


でも、ただの広場じゃない。


それは円柱のような形をしていて、壁際はすべて客席のような状態になっている。


「野球場?」


夏子さんが呟く。


あたしは「違う……」と、小さく答えた。


この建物、あたしは少し前に見たことがある。


「コロッセオだ」


勲さんが言う。


そう、ローマの有名な建造物。


この中で血なまぐさい戦いが頻繁に行われていたと言うのは、有名な話だ。


あたしは歴史の教科書でこれを見た。
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