絶叫脱出ゲーム～奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ～①
「これから何が始まるって言うの……」


昭代さんの震えた声が室内に響く。


まさか、昔のローマと同じ事が再現されるんじゃないだろうか。


そんな思いが胸をよぎる。


でも、ここは日本だ。


画面の中の客席には沢山の人が入っているし、殺し合いをさせるなんて事……ありえない。


そう思うが、あり得ないとは言いきれなかった。


すべての奴隷たちが広場の中央へと集められ、5等分されて映されていた画面は１つになった。


「始まる……」


優也さんが呟いた。


「本気で、戦いが始まる」


「そんな……」


あたしは優也さんを見る。


しかし、優也さんは画面を見つめたまま、こちらを見ようともしていなかった。


奴隷たちが互いに混乱した表情を浮かべている。


その時だった突然画面が切り替わり、薄暗い部屋が現れた。


その真ん中には黒いスーツを着た男が1人立っている。
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