絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~①
ルーム8
部屋を開けた瞬間、真っ暗な空間が広がっていた。


部屋の広さは10畳ほどで、その中心には真っ黒な1人用のソファ。


そしてそのソファに座っていたのは……モニターで見たスーツの男だったのだ。


「お前っ……」


優也さんが拳を握りしめるのがわかった。


あたしはそんな優也さんの腕を掴んで制止させた。


これからこの部屋で何が起こるのか、まだなにもわからない状況だ。


感情だけで先走ると、きっと失敗する。


あたしだってこのスーツ男を殴ってやりたいけれど、我慢しなければいけない。


「次はなにをする気?」

スーツ男を睨みつけながらそう言うと、男はソファから立ち上がり拍手を始めたのだ。


「まさかこの部屋までたどり着く人間が2人もいるとは思っていなかったよ」


スーツ男の声にハッとする。


最初に連れて行かれた《奴隷部屋》で聞いた、あのスピーカーの声と同じなのだ。
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