絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~①
あたしは、老婆の絵をそっと撫でた。


「美青年の絵が間違いだったってこと……?」


桃乃がポツリと呟く。


それに対しあたしは頷いた。


「作者のサインを見て」


「え?」


翔吾が驚いたように言う。


「ほら、あたしたちが選んだ絵のサインは、右上に逆さまに書かれているでしょ? つまりこれは逆向きに飾られていたってことなの。


正規の飾り方だと、美少女になる。桃乃が選んだ絵はまさに美少女。ドクロは関係ない。でも、ルキが選んだ絵は……」


あたしはルキが選んだ絵の前に立った。


作者のサインは右上に逆さまになって書かれている。


「逆さまに飾られている。美青年でも美少女でもない、もう1つ隠されている絵が本来の姿だったんじゃないかな」


「もう1つの絵って?」


翔吾にそう聞かれ、あたしは数歩後ずさりをしてその絵を見た。


そして、ハッと息を飲む。


「死神……」


ルキが選んだ絵を逆さに見て見ると、黒いマントを羽織って大釜を持った死神があらわれたのだった……。
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