オトナな部長に独占されて!?



駅の構内は、人が多くて賑やかだった。

スマホに向けて声を荒げても、誰も気に留めないでいてくれるのが、せめてもの救い。


「いい加減にして‼︎」

と通話を切ろうとしたら、母が慌てたように付け足した。



「親心が分かんないのかい?
お父さん、あんたのこと心配してるんだよ。

女なのに仕事ばっかりだし気も強いわで、嫁の貰い手がないんじゃないかって言ってるよ。

早くこっちに帰ってきなさい。お嫁入りして、旦那さんに尽くして、子供を産むのが女の幸せなんだから。

お母さんを見て育ったんだから、分かるでしょ?」



「悪いけど、全くわからない。

お母さんみたいになりたくなくて田舎を出たって、何度も言ったよね?

女の幸せ? 男に作ってもらう幸せなんかいらないね。

自分の幸せは自分の力で掴み取る。

お父さんみたいなモラハラDV男と結婚して、お母さんの何が幸せなのか、全く理解できないから。じゃ」



母親はまだ何か喚いていたけど、通話を切って、ついでに着信拒否に設定しておいた。


昔のことはなかったことにしたいくらいなのに、不遇の子供時代を思い出してムカムカしてしまった。


男尊女卑傾向の強い田舎町。

大事に大事に王子様のように扱われる弟と、不用品か召使いのように扱われた私。


やっと大人になって田舎から抜け出せたのに、連れ戻そうとするなんてハラワタが煮えくり返る。


< 55 / 145 >

この作品をシェア

pagetop