恋愛格差
どうしたって彼は納得してくれなかった。

あの後、怒っても宥めても泣き落としでも
頑として別れを受け入れなかった優。

根負けして疲れ果て、
挙げ句着替えの無い我が家に泊まっていった。

何もさせなかったけど。

そして以前のように朝早くに起きてシャワーを浴び、
コーヒーを飲もうとしてマグカップの無いことに気付き、悲しそうに会社へ行った。

まだ合鍵は返してもらってない。

優の家の鍵はこっそりビジネスバッグのポケットに入れておいたけど。


はぁ……マジで鍵ごと換えないといけないのかなぁ。
面倒だなぁ。出費だなぁ。

今日も家に帰ると優が来るのかと思うと
さらに疲れてきた。

今日は実家に帰ろう。

明日は二時間以上かかって出勤しないといけないが、
今夜も同じやり取りで疲れるより随分マシ。

しばらく帰省してないからきっと歓迎されるだろう。

良いこと思い付いちゃった!

「よし!」

そうとなったら帰れる時間に仕事を終わらせようと張り切った。

「透子さん、すごい集中力!」

「変なやつ……」

背後でこんな会話が成されていた。
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